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ベートーベン交響曲第5番 勝手解説

交響曲はベートーベン以前からあり、ハイドンは100曲以上残している。
ベートーベンはハイドンの教えを受けていたが、交響曲の形式を完成させたのはベートーベンといわれている。
交響曲ソナタ形式で構成された楽章を含む複数の楽章を持った管弦楽曲である。
ベートーベン以前では3拍子の楽章としてメヌエットがおもに用いられていたが、これにスケルツォを採用したり、交響曲という形式をより発展させた。
完成させた、といってもいいのかもしれないが、一方でその形式を破壊も行っており、第5番では3楽章から4楽章を連結したり、第6番ではこれまで一般的であった4楽章形式をやぶり、さらに3~5楽章を連結したりしている。

通常交響曲は「第〇番 〇長調」と呼ばれるように、調性が重要な意味を持っていて、通常1楽章と終楽章がこの調整となる。
第5番においてその調性はハ短調であるが、第4楽章はハ長調となっている。
有名な暗から明へ、という構図であるが、この調整の形式を破ったかというと、実は第3楽章でハ短調に戻ることでこの形式を守っている。
4楽章が3楽章とつながっていることと合わせて、一見型を破っているようだが、根底は残しているといえるのではないだろうか?
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第9番では終楽章において、それまでの1~3楽章のモチーフが戻ってくる、という技法が使われている。
これはその後マーラーなども同じようなことを行っている。

じつは、第5番でも同じようなことというか似たようなフレーズを使うことで全体が統一感を持たせているといえるのではないだろうか。

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第一楽章94小節目から
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第4楽章5小節目から

第1楽章では下降音型で、4楽章は上昇音型である。
これが短調長調という調性とあわせてより暗から明へ、という解決の音楽が強調されているように思える。

4楽章はソナタ形式なので、提示部、展開部、再現部という展開をもっている。
ここで、再現部というのが、207小節目からと考えられるが、153小節目から3楽章のモチーフが戻ってきている。
これもつまり、3~4楽章が連結しているというより、1、2,3+4という3楽章構成としてハ短調に戻ってきている形式と考えることもできる。
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